DISCOGRAPHY

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5th ALBUM君が人生の時…

CSCL-1165
1979/12/05 released


  • 01風を感じて
  • 02ミス・ロンリー・ハート
  • 03さよならにくちづけ
  • 04青春のヴィジョン
  • 05とぎれた愛の物語
  • 06恋の西武新宿線
  • 074年目の秋
  • 08今夜はごきげん
  • 09いつかもうすぐ
  • 10君が人生の時…

Produced by 鈴木幹治(東京音楽出版)
Directed by 須藤晃(CBS/SONY)
Sound Produced by 水谷公生
Recorded and Mixed by 吉田保

Drums 菊地丈夫 林立夫
Bass 岡沢茂
Piano and Keyboards 佐藤準
Piano 渋井博
Guitar 水谷公生
Acoustic Guitar 笛吹利明 Steel Guitar 石田新太郎
Percussion 石井宏太郎
Saxophone Jake H.Concepcion
Fiddle 武川雅寛
Accordion 風間文彦
Strings Tomato
Backing Vocal 町支寛二

Photographer 大川奘一郎
Designed by Clip House

CBS/SONY信濃町 & 六本木Studio.
Polydor 伊豆Studio.

ミス ロンリーハート

ステージ降りてきた時に 君は楽屋のドアにもたれて
冷えたビール 僕にわたして「よかったわ」と微笑んだ
ステージ後の寂しさ 吹き飛ばそうと 街へ出かけた
陽気なバンド仲間達と 車に乗り込んで

どこから来たの? Miss Lonely Heart
こんな夜は傍にいて欲しい
優しい男達が君の耳もとでささやく
恋のかけひき 苦手な僕は ただ遠くで見てただけ

束ねた髪をほどいて グラスかたむける君を見てると
めまいする程 せつなくなる 寂しさのせいかな

どこから来たの? Miss Lonely Heart
こんな夜は傍にいて欲しい
でもいつの間にか 君 他の誰かの腕の中で踊り続ける
そして いつしか どこかへ消えていった

70年代の終わりの頃からCMとタイアップしてシングルをヒットさせるという方程式が音楽業界の中に出てきたんですよね。オレも幾つかのCMソング候補にと曲を作ったのですが、苦労は報われずボツってたんですよ。「カップヌードル」のCMソング候補の話が来た時も、どうせ今度もボツだろうと思っていました(笑)。ところが、採用ということになったんです。作詞家の方が書いて下さった歌詞にかなり手を加えた、というか殆ど書き換えた感じでしたね。「簡単に出来る食品」ということで「イージー / Easy」という言葉を入れて欲しいということだったのですが、「EASY」を歌詞の中に入れるのは簡単じゃ無かったですね(笑)。

1979年の夏、CMソング『風を感じて』がTVオンエアーされ、大ヒットではありませんでしたが、それまでの状況を考えると、ビルの谷間に朝陽が昇るって感じで…(笑)。TVにも数回ですが出演して、TVの歌番組がどういうものか学習しました。結果、この頃はライブの本数も年々増えていた頃なので、面倒なTVの世界に関わることはやめて、ライブだけで生きていこう、と決めたのもこの時期です。『風を感じて』の良い反応が消えないうちに、新しいアルバムを早くリリースしよう、ということで1979年12月にリリース日が設定されました。

最近になって気づいたんだけど、“Illumination”から“Mind Screen”のリリース期間が8ヶ月、“Mind Screen”から『君が人生の時…』までが7ヶ月、その後の“Home Bound”までが10ヶ月なんですよ。これって凄いスケジュールですよね(笑)。その間かなりの本数ライブもやってますしね。当時、歌詞が書けなくて、「オレって枯渇したかも…」「失語症かも…」なんて煮詰まっていたのだけど、「2~3年の間に4枚のアルバム・リリースだもの、そりゃぁキツイ!」ということが判明しました(笑)。ましてやリズム・セクションのレコーディングまでに歌詞を含めて楽曲を完成させることなんか出来っこないです(笑)。「レコードって記録するってことだから、完璧じゃなくても、今のままを録音すればいいんだよ」と励ましてくれたディレクターの須藤晃くんの言葉。「なるほど、いいこと言うな」と納得してましたが、今思うに、納得いくまで推敲している余裕は無かったってことですよね(笑)。実際、明日リズム・セクションのレコーディングなのにメロディーさえ出来ていない、そういう状況が『君が人生の時…』のレコーディングの時にありました。

伊豆にあるスタジオでリズム・セクションの録音前日、まだメロディーが3曲足りないということで、近くにあるスタジオの宿泊施設で曲作りをしたのをよく覚えています。今まででこの曲作りの時が一番悲惨というか、もうそれを通り越して、ほとんどコメディーと言っていい一夜でした。宿泊所の居間に須藤くんがいて、オレがメロディーを完成させるのを待っている。隣の寝室でオレはギターを弾きながら唸っている。水谷さんと鈴木さんはスタジオで仮眠しながら待っている。明け方にやっと3曲出来て、水谷さんにメロディーとコードを渡して、オレはスタジオの隅に倒れこむように寝てしまった。あくる日、エンジニアやミュージシャン達が到着し、レコーディングが始まった。その三つのメロディーの内のひとつが『君が人生の時…』です。まさに人生の時でした(笑)。 でも、次のアルバムをリリース出来るということが決まっているわけだから、そういう意味では恵まれているし、有り難いことでした。それに、当時のリリースのタイミングというのはそんな感じだったんですよね。同じレーベルのシンガーやバンドのリリース日、プロモーション・プランや予算の配分…そのような要素からリリース日が決められていたのだと思います。決して当時の制作スタッフのせいにしているわけではありません(笑)。みんなまだ若く、共に学習しながら、一緒に闘っていたのです。

このアルバムの歌詞を書くに際して、オレは比喩や暗喩を用いて表現される、いわゆる「文学的な詩」というのは、読むにはいいけど、歌詞に関しては自分の好みでは無い、ということに気づき始めていて、普段使っている言葉で、自分が経験したことを、日々の生活のひとコマを、つまり「人生の時」を、映像的なタッチで書こうと思いました。音楽を始めた学生時代の話、ステージが終わった後の楽屋の風景、演奏旅行先のホテルの部屋…そのようなことが歌詞のモチーフになっています。そして、自分自身でアルバムの歌詞を全曲書けたことが何よりの収穫であり、転機であったと思います。

この頃にはツアーらしきものも始まり、ステージはバンドと一緒にやってました。ドラムの鈴木俊二くん、ベースは岡嶋善文くんから江澤宏明くんへ、ピアノは西本明くんから板倉雅一くんに、オルガンは一戸清くん、ギターはもちろん町支寛二くんです。まだ皆若くてね、やんちゃしてましたね(笑)。振り返ると、この頃のツアーの日々が一番楽しかったかもしれません。観客の数はどこの町も数百人で、客席はガラガラでね。テレビのヒット・チャート番組では沢田研二さん、原田真二くん、甲斐バンド、サザンオールスターズといったシンガーやバンドが脚光を浴びているのに、オレ達は空席だらけのホールで毎晩演奏していました。でも、楽しかった。オレはこれでいいんだ!って思い始めたんですよね。色んな町へ出かけて行って、汗だくで演奏して、食べて、飲んで遊んで、いつもボロボロになって東京に帰ってました(笑)。

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